
近年、街中や商業施設で目にすることが増えたLEDサイネージ。特に屋外設置を想定した場合、必ず意識しなければならないのが「防水性能」です。雨や雪はもちろん、湿気や結露、さらに夏場の直射日光による高温環境など、屋外は電子機器にとって過酷な条件が揃っています。せっかく導入したのに数ヶ月で不具合が起きてしまっては、投資の意味がありません。この記事では、防水対応LEDサイネージを選ぶ際に押さえておくべきポイントや、導入前にチェックしたい実践的な基準を解説します。
防水性能の基本は「IP規格」を見ることから
まず最初に知っておきたいのが「IP(Ingress Protection)規格」です。これは国際電気標準会議(IEC)が定めた防塵・防水の保護等級で、**IP◯◯**という形で表示されます。
- 最初の数字:固形物(ほこりや砂)への耐性
- 二番目の数字:水の侵入に対する耐性
屋外設置を考えるなら、最低でもIP65以上は欲しいところです。
- IP65:噴流する水に耐えられる(強い雨やホース散水に対応)
- IP66:強い噴流水にも耐えられる
- IP67:一定の水深に一時的に浸っても壊れない
- IP68:長時間の水没にも耐える
サイネージの場合、水没する環境は想定しにくいため、実用的にはIP65〜IP67程度が基準になります。
「防水」だけでなく「防塵」も重要
屋外利用では、雨よりも「ホコリ」「砂ぼこり」「花粉」などの微粒子の方が内部トラブルを引き起こすケースが多いです。防水性能だけでなく、防塵性能が高いことも確認しましょう。特に海沿いや交通量の多い道路近くでは、塩害や排気ガスが原因で故障することもあるため、筐体の密閉性や内部の防錆加工も重要です。
温度対策と結露対策は見落としがち
防水と聞くと「雨だけ」をイメージしがちですが、実は温度変化による結露の方が大敵です。昼夜の気温差や湿度によって内部に水滴が発生し、それが基盤ショートの原因となります。
- 内部に防結露ヒーターが組み込まれているか
- **通気構造(ベンチレーション)**で湿気を逃がす設計か
- 夏場の直射日光での高温に耐えられるか(耐熱仕様か)
これらもカタログやメーカーの仕様で必ず確認しましょう。
設置環境ごとに必要な防水レベルを考える
同じ「屋外」といっても、環境はさまざまです。
- 駅前や商店街:雨風が直接当たりやすく、夜間の結露リスクも高い。IP65以上推奨。
- 高速道路や幹線道路沿い:大型車の水しぶきや粉塵が多い。IP66以上が安心。
- 海沿い:塩害リスクが高く、防錆加工されたサイネージが必須。
- 半屋外(ショッピングモールの軒下など):直接雨に打たれにくいためIP54程度でも十分だが、湿気対策は必要。
導入場所に合わせて「どの程度の保護等級が必要か」を具体的に想定して選びましょう。
メンテナンス性もチェックする
防水サイネージは密閉性が高いため、内部点検やパーツ交換が難しい場合があります。選定の際には以下を確認しておきましょう。
- 前面開閉式か背面開閉式か(設置環境によって作業のしやすさが変わる)
- 電源ユニットやLEDモジュールの交換が容易か
- 定期清掃のしやすさ(フィルターや排水構造)
防水構造が強固でも、メンテナンスが困難だとランニングコストが高くなりがちです。
消費電力と冷却方式も重要
防水型サイネージは内部に熱がこもりやすいため、冷却方式も性能に直結します。
- ファン冷却式:コストは抑えられるが、ファン部分からホコリや湿気が侵入するリスクあり。
- ファンレス自然冷却式:防塵性に優れるが、大型ディスプレイでは発熱処理が課題。
- 液冷式(ウォータークーリング):ハイエンドモデルに採用されることもある。
電気代やメンテナンス性にも関わるため、消費電力と併せて検討が必要です。
導入前に確認しておきたい実践ポイント
- 保証内容:防水保証が何年間つくのか、自然故障と水濡れ故障の区分がどうなっているか。
- 設置工事の品質:配線部分の防水処理が不十分だと、どんなに高性能なサイネージでも意味がない。
- メーカーの実績:実際に屋外で何年稼働している事例があるか。
- オプション機能:夜間の明るさ自動調整、リモート監視機能、防犯カメラ連動など。
単に「防水モデル」という言葉だけで選ぶのではなく、現場に合った総合的な仕様確認が必須です。
まとめ
屋外で使用するLEDサイネージは、見た目や価格以上に「防水・防塵性能」「結露対策」「メンテナンス性」が長期運用を左右します。特にIP規格の確認は基本中の基本であり、設置場所の環境に応じた防水レベルを選ぶことが、投資の無駄を防ぐ第一歩です。
初期費用を抑えるために安価なモデルを導入し、わずか数ヶ月で故障して修理費用がかさんでしまうケースは少なくありません。導入時には必ず「屋外で何年持つか」という観点から慎重に選定しましょう。
防水対応LEDサイネージは、正しく選べば5年、10年と安定稼働し、企業や店舗の大切な広告資産となってくれます。
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