寒冷地(札幌)でのLEDビジョン運用テスト|雪・結露・凍結に強い仕様とは?【技術検証レポート】

1. はじめに|寒冷地LEDビジョンの故障が多い理由

北海道・東北などの寒冷地では、一般的な屋外LEDビジョンの想定環境を大きく超えるため、故障率が全国平均より高くなります。特に以下の要因が重なります。


目次

■1-1 氷点下による電子部品の動作不良

氷点下になると

  • 電源ユニットの起動不良
  • 電解コンデンサの内部抵抗増加
  • LED素子の発光特性低下
    が発生します。

特に −15℃以下では電源が立ち上がらないケースが多発することが判明しています。


■1-2 低温 × 高湿度による結露

寒暖差により筐体内部に水滴が発生すると、

  • 基板ショート
  • LEDパネルの腐食
  • 受信カードの誤作動
    につながります。

結露は寒冷地LEDの“隠れた主要因”とされています。


■1-3 積雪・凍結による物理破損

雪がパネル上に積もり凍ることで、

  • マスク破損
  • PCBの反り
  • フレームの歪み
    が発生します。

特に水平設置された屋上ビジョンに多い現象です。


■1-4 風速30m/s以上の突風

北海道の沿岸部では冬季に強風が頻発し、
通常の看板よりも風荷重が大幅に増大します。
設置強度不足は重大な事故につながるため、構造設計が必須です。


2. 実施テストの概要(LED Vision Lab 寒冷地性能検証)

LED Vision Labでは、寒冷地用LEDビジョンの適正を評価するため、以下の実証実験を実施しました。


■2-1 低温起動テスト(−30℃~+40℃)

恒温室を使用し、−30℃下での

  • 起動時間
  • 電源の立ち上がり電流
  • LED輝度の変化
  • 制御カードの動作安定性
    を測定。

●主な結果

  • 一般電源:−15℃を下回ると立ち上げに失敗するケースが多数
  • 低温対応電源:−25℃でも安定起動を確認
  • LED素子:氷点下20℃でも輝度低下は5%未満

■2-2 結露発生シミュレーション

昼 0℃ → 夜 −10℃ という寒暖差を複数回再現し、内部水滴の発生状況を観察。

●対策の有効性

  • 防湿コーティングあり:内部水滴ほぼゼロ
  • 防湿コーティングなし:受信カード近辺に結露発生
  • 通気スリット+ファン:結露抑制効果あり

結露対策の重要性が明確となりました。


■2-3 積雪荷重テスト(最大40kg/m²)

前面に人工雪を載せ、時間経過による負荷と変形を測定。

●結果

  • 標準フレーム:軽度のたわみ
  • 強化フレーム:変形なし
  • 防氷マスク:着雪が少なく凍結が軽減

積雪環境では必ず「強化フレーム+防氷設計」が推奨されます。


■2-4 風圧解析(風速33〜38m/s)

3D風洞シミュレーションを行い、背面・側面の風荷重を解析。

●考察

  • 平面看板よりL字看板は“角部分”の風圧が最大40%増加
  • 通風構造により負荷は最大27%減少
  • 支柱強度とアンカー長さの最適化が必須

3. 寒冷地に求められるLEDビジョン仕様(必須項目)

寒冷地での安定運用には、一般仕様とは異なる「雪国特化設計」が不可欠です。


■3-1 防水・防雪性能(IP65以上 + 背面通気)

部位推奨仕様
前面IP65以上、防氷マスク
背面防滴設計 + 通気スリット
内部基板全面防湿処理

特に「背面の通気性」を確保することで結露防止が可能になります。


■3-2 低温起動対応の産業用電源

寒冷地では“電源が最も壊れやすい部品”であるため、以下が必要です。

  • −30℃対応
  • 低温グレードの電解コンデンサ
  • 起動時のヒーター補助機能
  • 過電圧保護・突入電流制御

■3-3 結露防止の二重対策(防湿 + 換気)

●必須構造

  1. 防湿シリコーンコーティング(基板保護)
  2. 熱交換式換気ファン
  3. 温湿度監視センサー

これにより内部結露による誤作動を大幅に低減できます。


■3-4 防氷・雪落とし対策

前面マスクに雪が残らないよう、次の対策が有効です。

  • 前傾角度のパネル設計(2〜6°)
  • 防氷コーティング
  • 上部フレームの“雪切り”形状
  • 黒色吸熱性マスクによる雪融解促進

■3-5 スマートヒーター(温度連動制御)

●推奨設定例

  • −5℃:30%稼働
  • −10℃:60%稼働
  • −20℃:最大稼働

ヒーター制御を導入すると、LEDビジョンの“朝の起動不良率”がほぼゼロになります。


4. 寒冷地での施工ポイント

寒冷地のLEDビジョン施工では、設置環境を含めた総合的な配慮が必要です。


■4-1 風荷重・積雪荷重の構造計算

  • 基礎アンカーの引張強度
  • 支柱の座屈
  • パネルの風抜き率
  • 既存看板流用時の再計算

これらを行わないと、長期運用は困難になります。


■4-2 凍結に強いケーブル

PVCは硬化し断線するため、

  • 耐寒ケーブル(−40℃対応)
  • UV耐性ケーブル
    が必須です。

■4-3 除雪機接触を避ける保護フレーム

除雪作業での接触事故が多いため、
前面保護ガードやバンパー設置が推奨されます。


5. 運用・保守ポイント(寒冷地版)


■5-1 温度・湿度の遠隔監視

寒冷地では環境変化が大きいため、
温湿度ログを常時監視することで故障予兆を早期検知できます。


■5-2 朝の点灯チェック

特に低温時は

  • 色むら
  • 輝度低下
  • 起動遅延
    を確認する必要があります。

■5-3 積雪状況の定期確認

凍結前に雪を落とすのが理想的です。


6. まとめ|寒冷地LEDビジョンには“専用設計”が不可欠

北海道のような寒冷地環境では、
一般的な屋外LEDビジョンでは安定運用が困難であることが検証結果から明確になりました。

特に重要なのは以下の点です。

  • 低温起動対応電源
  • 結露ゼロ設計(防湿 + 換気)
  • 積雪対応フレーム
  • 防氷・雪落とし対策
  • 風荷重に基づく構造設計
  • 温度・湿度の遠隔監視

寒冷地LEDビジョンは、“通常品の延長”では成り立たず、
設計・部材・施工・運用のすべてで専用仕様が必要です。

お問い合わせはこちらから。

ラボおすすめデジタルサイネージランキングはこちら

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次