~実務担当者が押さえるべき規格変更と対応の流れ~

はじめに
2025年1月31日、経済産業省は「電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈について」の一部改正を公表し、翌2月1日から施行しました。今回の見直しは、電気用品安全法(いわゆるPSE法)に基づく安全基準を、国際規格(IEC)との整合を強化する形で刷新するものです。JIS規格の統廃合や新規格の追加が中心で、企業の国際競争力向上と製品安全確保を目的としています。本記事では、2025年改正の概要とポイント、実務上の注意点を詳しく解説します。
改正の背景
PSEマークは、日本国内で販売される特定電気用品やその他電気用品に表示が義務付けられており、安全基準に適合していることを示します。これまで、日本独自のJIS規格が採用されてきましたが、国際取引の増加に伴い、海外規格との不整合が課題となっていました。そこで、国際標準化機構(ISO)や国際電気標準会議(IEC)に準じた規格に合わせることで、認証手続きの重複や輸出入の障壁を軽減する狙いがあります。
廃止・置き換えとなる旧JIS規格
今回の改正では、旧来のJIS規格のうち23規格が新JISまたはIEC整合版への置き換え対象となります。具体的には、サウナ用電熱装置(J60335-2-53)、掃除機用個別要求事項(J60335-2-54)などが含まれます。
一部規格は改正施行後3年間の猶予期間が設けられていますが、即日廃止となる規格も存在します。既存製品を旧規格で製造・販売している場合は、対象規格の廃止時期を正確に把握し、切り替え計画を早急に立てる必要があります。
新たに追加されたJIS規格
改正により、多くの新規JIS規格が追加されました。代表的なものは以下の通りです。
- J60335-2-36:業務用電気レンジ、オーブン
- J60335-2-37:業務用フライヤ
- J60335-2-38:業務用電気グリドル
- J60335-2-39:業務用多目的調理鍋
- J60335-2-42:業務用コンベクションオーブン
- J60335-2-47:業務用電気煮炊き鍋
- J60335-2-48:業務用グリル、トースタ
- J60335-2-49:業務用保温機器
- J60335-2-50:業務用湯せん器
- J60335-2-64:モータ駆動の業務用厨房機器
- J60669-2-1:電子制御スイッチ
- J60974-11~13:アーク溶接装置用部材(溶接棒ホルダ、ケーブルジョイント、溶接クランプ)
- J61558-2-1~2-4:変圧器関連(複巻、制御、絶縁型)
これらはすべてIEC最新版に準拠した安全基準であり、国際市場への展開に有利な仕様となっています。
改正の意義
今回の改正は、単なる規格の数字や文言変更ではなく、日本の製品安全基準を国際的な水準へ引き上げる重要な施策です。特に輸出入を行う企業にとっては、海外規格との二重認証が不要になる場合もあり、開発スピードやコスト削減に直結します。また、安全基準の統一により消費者保護の強化にもつながります。
実務担当者が押さえるべき対応ポイント
- 対象製品の確認
自社製品が改正対象規格に含まれているかをリスト化します。 - 猶予期間の把握
即時廃止か、3年以内に切り替えが必要かを区別します。 - 試験・認証の更新
新規格に基づいた安全試験や表示更新が必要な場合があります。 - 関係部署との情報共有
設計、品質保証、営業、輸出入担当などの部署間で統一した対応計画を作成します。 - スケジュール管理
猶予期間終了前に改定対応を完了できるよう逆算スケジュールを設定します。
まとめ
2025年2月施行のPSE法改正は、電気用品安全基準を国際規格に合わせることで、日本企業の国際競争力を高める大きな一歩となります。一方で、規格変更は認証や製品設計に直接影響するため、放置すれば販売継続が困難になるリスクもあります。対象規格や猶予期間を正確に把握し、計画的に新基準へ移行することが重要です。
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