はじめに
LEDビジョンは街頭広告、商業施設、イベント会場など幅広く利用されており、その存在感と訴求力の高さから導入を検討する企業が急増しています。しかし、導入にあたって最も大きな課題となるのが「設置工事費用」と「工事に伴うリスク管理」です。製品本体の価格はカタログや見積もりで比較しやすい一方で、設置にかかる工事費用は条件によって大きく変動するため、事前の情報収集が不可欠です。
本記事では、LED Vision Labの観点から、設置工事の相場感と内訳、さらに注意すべきポイントをわかりやすく解説します。

1. 設置工事費用の基本構造
LEDビジョンの設置工事費用は、大きく以下の要素で構成されます。
- 基礎工事・構造物工事
- 屋外の場合、鉄骨やコンクリート基礎が必須。
- 建築基準法や風荷重計算に基づく設計が必要。
- 小規模:50〜200万円、大規模:500万円以上。
- 電気工事・配線工事
- 専用ブレーカーの設置や配線工事が必要。
- 高圧受電が必要なケースでは追加コスト発生。
- 相場:30〜200万円。
- 搬入・設置作業費
- クレーンや高所作業車の使用が一般的。
- 設置場所のアクセス状況により費用が増減。
- 相場:20〜100万円。
- 設置後の調整・システム設定
- コントローラーの設定、キャリブレーション、映像確認。
- 相場:10〜50万円。
- 諸経費・申請費
- 道路使用許可、景観条例申請など行政対応費用。
- 相場:5〜30万円。
2. 屋内設置と屋外設置の相場の違い
屋内設置の場合
- 相場感:100万〜500万円程度。
- 基礎工事が不要な場合が多く、壁面や天吊り金具で対応可能。
- 消費電力も比較的少なく、既存電源を利用できるケースが多い。
屋外設置の場合
- 相場感:300万〜数千万円規模。
- 基礎工事・鉄骨構造物・防水対策・風荷重計算が必須。
- LEDパネルの価格よりも設置工事費用の比率が高くなることもある。
3. 工事費用を押し上げる要因
- 立地条件
- 高層ビル壁面 → 高所作業費増。
- 人通りの多いエリア → 夜間施工や交通整理費用追加。
- サイズ・重量
- 100インチ程度の小型ビジョンと、20m級の大型ビジョンでは工事内容が大きく異なる。
- 電源容量
- 100Vで足りる小型タイプと、200V三相電源が必要な大型タイプでは電気工事費用が大きく変動。
- 法令・条例対応
- 景観条例や屋外広告物条例に基づく許可取得が必要な自治体も多い。
4. 見積もり時に確認すべきポイント
設置工事の見積もりを比較する際、以下を必ずチェックしましょう。
- 工事範囲が明確か(基礎・電気・搬入を含むか)
- 追加費用が発生する条件(夜間作業・高所作業など)
- 保証内容の有無(施工保証・保守契約)
- 行政申請の代行可否(自社対応か業者代行か)
これらを曖昧にしたまま契約すると、後から高額な追加費用を請求されるケースが少なくありません。
5. トラブル事例と防止策
事例1:基礎工事費用が想定の2倍に膨れ上がった
- 原因:地盤調査不足により追加補強工事が必要になった。
- 防止策:事前に地盤調査を実施し、工事前にリスクを把握。
事例2:設置後に映像が映らない
- 原因:送信カードの解像度設定とLEDモジュールの物理解像度が不一致。
- 防止策:施工後の調整・キャリブレーションを必ず行う。
事例3:条例違反で稼働停止
- 原因:景観条例を確認せず設置。
- 防止策:事前に自治体の広告物条例を確認し、申請を通す。
6. 導入を成功させるためのチェックリスト
- □ 複数業者から相見積もりを取ったか
- □ 基礎工事・電気工事を含む見積か
- □ 行政申請の必要性を確認したか
- □ 設置後のメンテナンス契約を検討したか
- □ 施工実績のある業者かを確認したか
7. まとめ
LEDビジョンの設置工事は、製品本体の価格以上に費用とリスクが大きく変動します。特に屋外設置では、基礎工事や法令対応が複雑化するため、専門知識と実績のある業者に依頼することが重要です。
初期費用を抑えることだけに注力せず、長期的に安全かつ安定して稼働させる視点で検討することで、投資対効果を最大化できます。
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